仕事ときどき女の子

仕事も女の子もがんばらなくなりましたが、豊かに生きてます。

幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより勇気がいるの。

わたしを構成する芯みたいなものは、この映画から学んだ。

映画「下妻物語」

映画「下妻物語」

 

「信念を曲げるくらいなら死んだほうがマシ」というレッテルの貼られた金槌で殴ってきた、そんな強烈な映画。思春期のわたしにとっては桃子の言葉が支えだった。何度も何度も、つらくなったら思い出す。それは大人になってからも続いている。

 


 

ninatanpe.hatenablog.com

仕事に対してどこまで踏み込むか、と書いた5日後、今年始めに仕事をした案件の社長からChatWorkで連絡が。お、新しい仕事かなうはうは!と軽い気持ちで話を聞いたら、ただのテストでもコーディングでもなく、いきなりCOOのポジションをやってくれという熱烈なカードを突きつけられた。

COO。chief operating office最高執行責任者。ただのフリーランスがいきなり役員になる、という言葉に偽りはほぼ混入してない。もっと深掘りしてくと、実際のオペレーションを回してくという仕事をやってくれという意味らしい。平たく言うてみれば、会社の持ってる案件全部のディレクションをやるんだけど、ひとつずつじっくり考えてメンバーと協力して答えを出すというよりかは、案件の全体像を社長と一緒に把握したら、わたしが解釈して噛み砕いてメンバーに仕事振ってくというニュアンスらしい。小さい会社だから、社長が数十ある案件全部見て、エンジニアとかデザイナーがモノ作る以外は全部社長がボール持っちゃってるのが、案件の相手が大きくなり出して相当つらいらしい。数日一緒に仕事して、何もかもをやってる姿とSkype中何度も急ぎ案件が横入りしてるのを見てて、「これは…アカン!」と心底思った。今までディレクターいなかったのかというとそうでもない。ちゃんと居る。でも、ちょっとワケありで仕事を頼めない状況だという。(とやかく言いたくないから今は言わない。ただ後々揉めるかもしれない可能性は否めないから、そのときに話します…)

という話を聞いて、正直戸惑った。仕事はしたい。テスターやってるよりずっと楽しい。でも、頑張れるのかな、と。隠すこともなかったし、素直にこの2年の経緯とかを話したらちゃんと理解してくれて、少しずつやってくれればいいからと言ってくれた。

おまけに、わざわざうちの近くまで来てくれた。都内から数時間はかかるところ、わざわざ来るっていう、おおごとなイベントが発生した。そこでも、熱烈アプローチを受けて、「必ず幸せにしますから」とわたしのプロポーズ処女を奪う暴挙。ここまで聞いて、これはまじでおおごとだと襟を正した。正社員になるということだけでもすごいことなのに、いきなりCOOになれという。そんなぶっ飛んだシナリオは現実では普通起こらないんじゃ?話をされればされるほど悩んだ。

 


 

このオファーで一番気がかりなのが、

  • 仕事過多で2年前のような最悪のメンタルを繰り返してしまわないか
  • そう簡単に辞められない立場に豆腐メンタル人間がいていいのか
  • COOとして足りない知識を補えるか

ひとつ目はそうね、周知の通り。中間管理職を降ろされた日から、仕事をあんまり頑張ってないから、どこまで頑張れるかが未知数。でもこの会社は、全員リモートワークで仕事してるから、対人で悩むことも最小限。それに、全員17時には連絡つかなくなるみたいだから、それでいいって言われた。あとは、わたしがどこまで自分をコントロール出来るか。事情をわかってくれてるから、無理しない前提で仕事はさせてもらえるだろう。

ふたつ目は社長がいいっていってるからいいんだろうけど、本人は自信満々に、問題ないぜ!と言えないものよね。豆腐メンタルを上回るメリットを見出してくれているんだろうか。人間完璧じゃないからねえと言ってはくれたが、が…

みっつ目は頑張ればいいんじゃないか案件すぎるけど本音。Web系の知識だけじゃなくて、英語とか経済とか真剣に向き合わなきゃいけないんじゃないのかなって。早速契約書書けとか言われてるし。COOに何を求めてるのかとかも、明確にしなきゃいけないし。考え過ぎ?そんなことないよね。それくらいの覚悟を持たなきゃいけないと思う。

 


人間は幸せを前にすると急に臆病になる。
幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより勇気がいるの。 

下妻物語の台詞。BABY THE STARS SHINE BRIGHTの磯部社長に新作のワンピースの刺繍を入れるという大きな仕事を任せられて、でも迷いが生まれてきて、ひとりパチンコで現実逃避してるときに、小さい頃の桃子が大人の桃子に話しかける。そのときの言葉。

幸せを掴むって、大きければ大きいほど代償も大きい。元の生活には戻れないこともあるし、未知のものへの恐れもあると思う。だから、何かを選択するって、後悔か恐怖の選択だったりすると思う。

 「才能があんのに、その才能を認めてくれる人がいるってのに何悩んでんだよ、バカ。おめえが作んなきゃ、それ着たい人どーすんだよ。ジャスコで済ますしかねーじゃん。出来るよ、お前なら」

桃子が悩んでる時にイチコが言う言葉も刺さる。 もっと純粋に、自分の意思を汲み取れたら悩まない。でも、迷いは生まれるよ。損得は考えるよ。大人だからねえ。

 


 

選択のカードが目の前に置かれたとき、桃子がわたしに語りかける。後悔と恐怖、どっちのカードに手を伸ばそうか、わたしは立ち止まる。とっくに答えは出ているのに、少しだけ悩むふりをする。後悔のカードを手に取り、ぐちゃぐちゃに丸めて捨てた。